レヴィオルストーリー
「…はり?」
「あれ?」をいつもの「あり?」ではなく「はり?」と言ったギルクはイルを見上げると首をかしげた。
「ギルク!大丈夫?大丈夫ッ?」
イルは半泣きだが笑顔で繰り返し言う。
「…誰?」
そのギルクの言葉に、俯いて考え込んでいたアレンは顔を上げ、その横で休んでいたレイは目を見開き、イルは不思議そうな顔をした。
「…ギルク?何言って…」
イルはよくわかっていないみたいだ。
「誰だお前。チビだなぁ」
ギルクは起き上がるとそう言って笑った。
反対にイルは泣き顔になる。
「…嘘でしょ?」
ギルクは強く頭を打ったのか、記憶喪失になっているようだ。
あんなに大事にしていたイルもわからないらしい。
「てーか、あんた誰?あんたも…。そいえば…俺も誰?」
徐々に混乱していくギルクを見ながら、イルはギュッと唇を噛み締めた。
そして、顔に笑みを張り付ける。
「…あなたはギルク。あたしはイル。あれはレイで、あっちはアレンだよ?」
一人一人を指差しながら、イルは優しく説明した。
意外なイルの強さに、アレンとレイは驚く。
「ギルク、忘れちゃったの?ね、何を覚えてる?」
「…人の顔…」
「人?」
「オレンジの髪の…。うっすらだけど。そういえばお前もオレンジの髪だなぁ。」
記憶を失ったわりに普通なギルクはそう言うとイルをジッと見た。
「…好みではないけどなぁ。」
笑いながら言う。
「ちょっとギルク…」
レイがイルの側に寄る。
「大丈夫だよ。昔、いっぱいあれ言われたから。」
イルはにっこりと笑ってそう言うと、ギルクに向き直った。