レヴィオルストーリー


「ギルク…」

イルが何か言いかけたその瞬間、ギルクの背後に空間の歪みが生じる。



「!?」


あの老婆が出てきた。

ギルクに腕を伸ばしながら…。


「危ないッ」


イルが叫んだ瞬間何かが目に映らないくらいのもの凄い速さで横を過ぎた。

この速さはアレンだ。

捕まりそうになったギルクを引っ張って、助け出す。


「…小癪な…」

老婆はそう吐くと全身を赤い光で包んだ。


「魔物使いの力か」


そう呟くアレンの横でギルクは不思議そうに自分より少し背の低い彼を見下ろしていた。


「お前…?」

「レイ、ギルクを頼むぞ」

「うわ」


アレンはギルクをレイのいるところに突き飛ばすと瞬間的に地面を蹴った。

その姿が消える。


「うわわわわ」

老婆の力で倒れていた魔物が復活したのを見て、レイに受け止められたギルクは訳のわからない様子で声を上げた。


「…邪魔はさせん!」

老婆が手を動かした。

ジャンプして部屋から見える、真ん中が崩れた屋根まで登っていたアレンに向かって魔物が一斉に突っ込む。


「…うざいし…きも…」


魔物を見て呟いたアレンは剣を構えた。

そして、高く跳ぶ。

また姿が消えた。


「?!」

驚いた老婆の横に風がヒュウ、と通りすぎた。


「…俺の勝ち」

後ろから老婆の喉元に剣を突きつけたアレンはふっと笑って呟く。


「…くそっ…まだじゃ!魔物どもよ…!?」

老婆が魔物から少し目を離していた隙に、魔物は全滅していた。


「イル、ナイス」

杖を直したイルがピースをして返事する。


「…………。」

老婆は力なく座り込んだ。




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