レヴィオルストーリー
「楽しいのう。」
呆れるレイと大笑いするイルの隣で、メディンは目を細めてそれを見ていた。
「…あなたの子供も、立派になられたものじゃ」
メディンの誰かに対するその呟きを聞いた者は、誰一人としていなかったのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
翌朝。
メディンの家に泊めてもらっていたアレン達は、次の行き先を決めるのに手こずっていた。
「絶~っ対、フェニックビレッジ!」
「違うわ、サリアンシティよ!」
「それはもう行ったじゃないのっ」
「やっぱカカサビレッジだろぉ」
「あそこはもう嫌よ!」
三人の言い合い。
アレンは一人それを見ながらストレートティーを優雅に飲んでいた。
「「「アレンはどこがいい!?」」」
急に三人が自分に振ってきたぞ。
「うるさい、どこでもいい」
優雅な時間を邪魔されたくなかったアレンは適当に答えることにした。
すると、ギルクとイルが怒り出す。
「そんなの駄目ぇ~ッ!!リーダーはアレンでしょおぉ!?」
チビオレンジの叫び。
「うるさい…。うぜぇ」
「ひっどおぉ~い!!」
イルはバレバレすぎる泣き真似を始めた。
「おやおやどうしたのじゃ」
そこにメディンがやって来る。
「アレンが酷いんですぅ」
「次の行き先が決まらないんです」
くすんくすん、と泣き真似を続けるイルを無視したアレンは飲み終わった紅茶のカップをテーブルの上に静かに置くとメディンに言った。
イルは泣き真似をやめた。
諦めたようだ。
「そうかい。ならば、ちいとよいかの。」
「?」
いきなりそう言ったメディンをよく見ると、今から旅に出るみたいな荷物を持っている。
「どこか行くんですか?」
レイが不思議そうに聞く。