レヴィオルストーリー
『お母さん?またって…??』
顔を出そうとしたアレンをナティアは引っ込める。
〈灯台を渡すのならお前も子供も無事だ〉
男の言葉にナティアは一瞬美しい顔を歪めた。
そして、何かを決意したかのように唇をキッと結ぶ。
『…私が死にます。だから、アレンと灯台は見逃して下さい…。』
『…お母さん!?何言って…』
母の言葉にアレンは慌てた。
『嫌だよ!冗談だよね?』
ナティアは悲しそうにアレンを見つめた。
『ごめんね。私ではあの人には勝てないのよ。』
『嫌だ!灯台なんか渡しちゃえばいいから!』
そう叫び、しがみつくアレンをゆっくりと引き離したナティアは真っ直ぐに男を見た。
『それじゃ、駄目ですか?』
男はおもしろそうにナティアを見る。
〈ほぉ。…まぁ、よしとしてやろうじゃないか〉
にやり、と笑った。
それは何人もの人間を殺した冷徹な者がするにふさわしい、冷たく残虐な笑み。
『待ってよ、お母さん!一人にしないで…』
アレンはゾッとしながらナティアの腕を引っ張った。
『…ごめんね、アレン』
母が浮かべた笑みは、強いもので。
アレンはどうやっても止められないことを悟った。
『…お母さんを殺さないでください!!』
『アレン!?』
何を思ったか、アレンはナティアの前に飛び出すと頭を下げて男に懇願した。