レヴィオルストーリー
「意気地無し!あんな子供の妖術にやられちゃって、だらしないわよ!!」
アレンはその碧の目でレイを見た。
正気ではない目が、今度は微かではなく確かに揺れた。
「悲しいなら我慢しないで吐き出しちゃいなさいよ!馬鹿!!」
レイはそう叫ぶと自分まで涙を流し始めた。
「…ちょっとくらい頼ってよ。
昔のことはどうにもならないけど…。
アレンは独りじゃないんだから…。」
小さく呟いた途端、レイは俯いた。
その呟きは、操られたアレンの心に確かに響いた。
「…………レイ」
優しい声で名前を呼ばれてレイは顔を上げた。
そこには、いつもと同じ綺麗で澄んだ美しい碧の瞳からずっと涙を流し続けるアレンの顔がある。
「……アレン…」
「……ごめん、ありがとう…。」
そう言ったアレンは俯いて、涙を動く方の腕で拭いた。
ギルクはその様子をビックリして見ている。
そしてビーンは悔しげに唇を噛み締めた。
そんなビーンにクロムが近づく。
「…ビーン、帰れ」
ポニーテールの髪を揺らして、ビーンはクロムを見上げた。
「嫌よ、あいつらあたしが倒……」
言いかけてビーンは口を閉じる。
柔らかい笑みを浮かべた少年の目が、恐ろしく冷たかったから。