レヴィオルストーリー
「…イルを治さなきゃ駄目なんだ、邪魔だから殺されたくなかったら帰れ」
剣を間に挟んですぐ正面にある綺麗な整った顔に言う。
額に青筋が増えた。
「殺されたくなかったら?それはこっちの台詞かな」
「…馬鹿みてぇ」
明らかに魔力で負けるのはわかっているのに意地をはるクロムに冷たく言ったアレンは、剣を弾くと相手のひざを蹴った。
さっきより速い。
「…!?」
クロムはそのまま地面に倒れた。
アレンは剣を振り上げる。
「お前、強かったよ。腕がこんなんだから負けそうだった」
そう言ったアレンは剣を真下に突き落とした。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「…倒したのかぁ?」
地面に倒れて動かないクロムを置いて自分達の元に来たアレンにギルクは聞いた。
「…うん。魔王の幹部とかじゃなかったら殺さなかったんだけどな…」
少し辛そうに言うアレンは最後に一度だけクロムを見た。
「お前、優しすぎだろぉ。いちいち気にしてたらこの先どーなんだ」
「…ん」
曖昧に答えたアレンはいきなり魔法呪文を辺りに浮かべた。
金色に光る奇妙な形の文字が無数に列を成し、アレン達の周りを円形に囲む。
「アレン?!何するの?」
目を見開いたレイが慌てて聞いた。
「…安全な場所に行く。ここはベッドがないからイルを寝かせられないし。」
「えっ…それってテレポー…」
レイが言い終わらない内に、辺りの景色が霞んだ。