レヴィオルストーリー


アレンは顔を上げた。



母は消えかかっていた。





「母さん?」


『…時間切れだわ。アレン、元気でね。』

「えっ…、ちょっと待って、俺だって聞きたいこととか話したいこと…」


『…あの人そっくりに育っちゃって、無理ばっかするし一人で抱え込むし。本当に、目の離せない息子ね。』

アレンの言葉を遮り、母は優しく言った。

「あの人…?」


『…アレン、ずっと見てるから。』



そう言って母は消えていった。


虹色の石の欠片が元の輝きを取り戻す。







「……………。」

アレンは立ったまま目元に手で触れた。


昨日赤く腫れていたその目は、今はもう治っている。





────8年振りに、泣いた。


涙の流し方なんて忘れてると思ってた。


心の底からの笑い方も。



だけど、やっぱり変わったんだ。


あいつらに逢って。


あの、三人に逢って────。





「アレ~ン」


ふと声がした。


振り返る。



「いたよ、レイ、ギルク!アレンだあ~♪」


三人が駆け寄ってきた。


「あら、これ…。お母様のお墓?」


レイはおずおずと聞く。


アレンはすっきりした表情で墓を見た。


「…うん、そうだよ」


「立ち寄れてよかったな、アレン!!」


ギルクがアレンの背中をバシッと叩いて走る。


イルがそのギルクの背中に乗っていた。


「ほらあ~、行くよぉ、二人ともぉ」


その言葉にレイは走り寄る。


「行きましょ、アレン」


振り返って笑いかけてきた。



「…ん」



アレンは今までに一度も見せなかった満面の笑みを三人に向けた。



────この絆は、絶対になくさない───。




アレンは心の中でそう誓った。





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