レヴィオルストーリー
第五章◆VS自分
薄暗いその部屋に、二人の男女がいた。
一人は赤紫の髪をポニーテールにした少女。
跪いて頭を下げている。
もう一人は黒で全身を包んだ男。
豪華な真っ黒い椅子に座り、少女を見下ろしていた。
〈…クロムが死んだ〉
男は少女の話を聞いて呟いた。
〈なんと貧弱なことよ。相手は片腕だったというじゃないか。〉
「その通りでございます。片腕の心を乱した剣士に負けるなど、とんでもないことです。」
いつも活気な少女は、自分が叱られるんじゃないかとドキドキしていた。
〈そなたも、妖術を破られたらしいな、ビーン。〉
少女、ビーンは顔を上げた。
「お、お許し下さい…。詰めが甘かったです。今度は、確実に四人皆殺しに…」
〈よい。妖術師の力は剣士と違って重要だ。クロムは腕が立つから置いていたのに、どうやらあちらの方が上だったらしい。〉
ビーンは心底ほっとした顔で、男、主人である魔王を見つめた。
「ありがたき幸せでございます。」
〈ふん。感謝するがよい。では、もう下がれ〉
魔王に言われ、ビーンは一礼すると部屋を出た。
「あ~、毎回緊張するう」
ふぅ、と息を吐いたビーンはそのまま自分の部屋に向かっていった。
〈…次に駄目ならばあいつも用ナシだな〉
魔王が部屋を出る直前にそう呟いたのを、ビーンは知らなかった。