レヴィオルストーリー
森を歩きながら、アレンは後ろの三人の気配をずっと感じていた。
─────安心する。
何故かはわからない。
他人にこんな気持ちを抱くのもはじめてだから。
……俺は、間違えてたのかな。
封印を解くべきじゃなかったんじゃないか。
そんな考えがふと浮かび、立ち止まる。
────それでも。
長い間、魔力を封印するよりも前に封印した自分の笑顔を、あの三人は取り戻してくれた。
一緒に、涙までもを。
あんなに心の底から笑ったのは、母が殺されて以来はじめてだ。
涙を流したときなんか、信じられなかった。
護れなかった。
護るべき大切な人に護られて、ただ一人生き残った。
そう、ただ独り。
だけど 今は──────。
「アレン?」
綺麗な澄んだ声に呼ばれ、ハッと我に返る。
「急に立ち止まって、どうしたの?」
レイはマリンブルーの瞳でアレンを見つめた。
途端に、自分から見たくせに赤くなる。
「?」
急に茹でタコになったレイを見て、アレンは首をかしげた。
「…アレンてほんと、鈍いわよね」
「鈍さでできてんじゃねぇか」
二人の様子を見ていた傍観者のカップルは、呆れてしまった。