レヴィオルストーリー

〔精霊士、貴女アレンのどこが好きなのよ!〕

リップルの急な質問にまたまた度肝を抜かれたレイ。

〔ほら、10個言ってみなさいよぅ!〕

答えないレイに、リップルは無理にそう難題を出すと数を数え始めた。


(えぇっ!?)

アレンのどこが好きなのか…?


かっこよくて、かわいくて。

強くて、優しくて。


「えっ、えっと…」

〔思い付かないの?〕

勝ったと言わんばかりに笑みを浮かべる水魔。

レイは切り札を出した。


「全部よ!知らない内に好きになるのが恋ってものでしょ!そんなの具体的に言うものじゃないわ!」

〔!!!!〕

水魔リップルは雷が自身に落ちたかのようなショックを受けた。


〔…そ、それもそうかも…。〕

「あなたはどうなのよ、あんなこと言ってたけど。アレンの何を知ってて何が好きなの?」

躍起になったレイは食って掛かった。


〔…え〕

固まる恋敵。

「あなた、アレンとは一回会っただけじゃないのっ。」

〔…今日で二回目よ!でも見た瞬間ビビってきたの!!だってかっこいいんだもん!〕

リップルは叫ぶ。


「そうよね、かっこいいわよね」

共感したレイはそう呟いてしまった。

〔よね~、だから渡さないわよッ〕

「何でそうなるのよ!」

女の取っ組み合いが始まった。






「…ん?」

着替えて戻ってきたアレンは二人がテントの床に突っ伏して寝ているのを見て首をかしげた。

「何?何してんの?」

「何でもないわ…」

びしょ濡れのレイはそう答える。

〔人間と引き分けになるなんて…〕

悔しそうに呟いたリップルはもはや起きる気力もないらしい。



こうして、恋する乙女の戦いが終わった(?)。




「…何か訳わかんねぇよなぁ」

ポツリとギルクが何かを言った。



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