レヴィオルストーリー
30.勇者42代目
アレンの言葉に、その場にまた沈黙が訪れた。
しばらくしてギルクが耐えられなくなったらしく、おずおずと手をあげて口を開いた。
「あの~…、知らないって?」
遠慮がちに聞いてみる。
「…会ったことないし存在すら知らなかった。」
「何!?ナティアから何も聞いてないのか!?」
ルティがかなり驚いた様子で目をギリギリまで見開いた。
「…母さんが何も言わないから、いないんだろうなぁて…」
「いや、それはおかしいでしょっ」
イルがこんな時にツッコミを入れた。
アレンが黙っているとレイがいきなり腕にそっと触れた。
アレンは少し驚いてレイを見たが、
「…大丈夫だから」
と言い、レイに微笑みかけた。
そんな二人を見てニヤニヤする怪しい人物が約二名…。
「知らないの?」
ルティのまた別の仲間の、黒髪の和風美人が静かに聞く。
「あんなに凄い人なのに…」
何故か涙を流しながら、またまた別の仲間らしい、青い髪の男が呟いた。
「いいか、アレン。」
ルティはアレンの腕をがしっと掴みながら、その碧の瞳を真っ直ぐに見た。
何か大変なことを伝えるかのように、緊張した面持ちで深呼吸を繰り返す。
そして……。
「お前の父さんは、
…勇者42代目の、ウィスカ=ブロドニスだ」
そう告げた。