レヴィオルストーリー
「あいつはめんどくさがりなわりに仕事はきちんとする奴でな、勇者の仕事を全部きっちり、抜かりなくこなしてたんだ。
でも、前の41代目の勇者が酷いやつだったせいで仕事がやたらと多くてな、忙しすぎて、アレンやナティアのいるカルアシティに帰れなかった。」
「アレン達をモスフィックタウンに呼べばよかったんじゃないのぉ?」
イルが口を挟む。
「呼んだら、二人は勇者の家族としてかなり注目されるだろう?
まだアレンが幼かったから、それではナティアに負担がかかる。
ウィスカは滅多に城の外に出なかったから、勇者のことを知りたいと思う奴等はごまんといた。
それに、二人が家族だと知られたら、勇者の地位を狙う奴らに利用されたかもしれんし。」
ははぁ~、なるほどね、とイルは頷いた。
「ウィスカはナティアとの電話に支えられていたからこそ、あの仕事をできたんだ。
でもさすがに何年も経つと、嫌になってくる。
それであいつは一回だけ、城を抜け出した。
その時に、ある女の子に会ったんだ。」