レヴィオルストーリー
31.名も無い村
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ルティの話が終わった後、合同した二つの冒険者のチームはほぼ無言で名も無い村に向かった。
名も無い村についてからは、一つだけあった小さな宿にチームごとに泊まる。
アレンは荷物を置いた途端、何も言わずに宿を出ていった。
「…そりゃああんな話聞いたら辛いよな」
ギルクが窓から外を見ながら、頬杖をついて呟いた。
「何かしてあげれないのかなぁ」
真っ赤になった目をこすり、イルが涙声で言う。
「…………。」
「レイ?どうしたぁ?」
何も言わずに眉根を寄せるレイに、ギルクがきょとんとして聞いた。
「だめよ」
「はぁ?」
急に呟いたレイの言葉にギルクは首を傾げる。
「アレンを一人にしちゃ、だめよ。」
「そりゃあ今までアイツは一人だったしな…。でも俺らがいるさ!」
胸を張り、何故かそこで威張るギルクをレイはちら見する。
「違うわ。たった今よ」
「何でぇ?」
鼻声のイルが不思議そうに聞く。
「わからないの?」
ギルクとイルを、少し怒った様子でレイは睨んだ。
「さっきのアレンのあの顔は、本当のアレンの笑顔じゃなかったわ」
「だからそっとしといてやるんだろ?」
ギルクの言葉にレイが首を振る。
「違うの。だからこそ一人にしちゃだめなの」