レヴィオルストーリー
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宿を出たアレンは、行く宛もなくふらふらと歩いていた。
いつのまにか村の北につく。
目の前に二つの山が見えた。
その二つの山を越えた先に、ノスラムシティがある。
歩きながら、アレンはさっきから頭の中でぐるぐる回る言葉にぼんやりと意識をやる。
『殺された』。
────…魔王に…。
(…魔王…)
母の言っていた『あの人』は、きっと父のこと。
メディンがはじめてアレンを見たときに酷く驚いたのも、最初のルティの反応で納得がいく。
あの時メディンはアレンを見て悲しそうに微笑んだ。
そして、母を殺した奴が言った、『また大切なものを失いたいのか』という言葉。
これで、わかった。
…両親は、両方魔王に殺されたんだ。
足がピタリと止まる。
───…どれだけ俺の人生を狂わせたら気が済むんだ。
どれだけ俺の大切な人を殺せば気が済むんだ────。
ここから北にある筈の、山に隠れて見えない魔王の居場所に目を向ける。
アレンの瞳が冷たく恐ろしく光った。
(……俺は…。)
「…アレン!」