レヴィオルストーリー
気にせずアレンは怪我した腕で剣を振り続ける。
(怪我した腕なのに…速い)
身体にはいくつも剣が掠れた傷ができた。
思わずスターナはアレンの速さに顔をしかめる。
その一瞬も見逃さない。
横っ腹の黒い肌に深めの赤い傷ができた。
結構深い怪我を負わせたことに満足したのか、アレンは一旦退いて敵から離れた。
右腕から血が滴り落ちる。
「…?」
ふとあることに気付いたアレンは目を見張った。
「お前…!!」
スターナの傷が、浅いものからどんどん消えていく。
あり得ない早さで傷が治っていた。
「魔王様に頑丈に創ってもらったんでね」
薄ら笑いを浮かべたスターナは、隠すことなくそれを見せつける。
横っ腹の深い傷までもが回復しだした。
「創る?」
「魔王様は弱い人間なんか配下に入れない。ご自分で創った、ヒトではない俺みたいな特殊な奴を配下にする。」
アレンは無表情にそれを聞き、
「…結局自分の命令を聞く操り人形がほしいだけじゃん」
と一蹴した。
「操り人形ではないな。意思はきちんとある。」
スターナは少し考えた後そう言った。
「…まぁとりあえず、一撃で殺さなきゃ一生勝てないのか」
「そうだな」
「ふーん」
さして困った様子もないアレンは興味なさげな反応をすると、地面を蹴って走り出した。