レヴィオルストーリー


ロリンの言葉と笑みに、その場の全員がぞくっと恐怖を感じた。



──魔王の配下で最も残酷。



それを思い出す前に、アレンの背中に痛みが走った。

ロリンの蔓が、右肩から背中にかけてある一番酷い傷をなぞっている。


「アレン!」

痛みに身を強ばらせ、唇を噛み締めて耐えているアレンを見てレイが悲痛な叫びをあげた。

「動いちゃ駄目だよ精霊士さん」

レイの目の前の蔓が少し近づく。

それでもレイは駆け寄ろうとした。


「駄目って言ってるでしょ!」

「…ッ!!」

ロリンが熱くなって叫んだ途端、アレンが声にならない悲鳴をあげた。

レイは大人しくなる。


「ふんっ」

偉そうに言ったロリンは視線をアレンに戻す。

そして、微笑んだ。

「…最高♪」



「アレンを離して!何がしたいのよッ」

イルが怒って喚いた。

「仕方ないじゃあん。魔王様がそういう性格に創ったんだからぁ。どうせ殺れって言われてるんだしぃ~」


恐ろしい考えに三人は真っ青になる。


ロリンはアレンをこのまま殺すつもりだ。


蔓は今度は傷をなぞるのではなく、そっと覆った。


「…?」

蔓の動きが止まったのを感じて、アレンが霞む目でロリンを見る。


赤い瞳と目が合った。


「これは耐えれる?」



ロリンがそう言った瞬間、蔓が変色しどす黒い色になった。

傷に触れたところが、ジュッと焼けるように激しく痛みだす。


「うあっ…、あぁあ!」

「それそれ~、いい感じ!」


アレンがギュッと目を瞑り、思わず声をあげるとロリンがそう言った。



──意識が飛びそうだ…。もう耐えられない…。



アレンがそう思った瞬間、それは起きた。




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