レヴィオルストーリー
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「…ん…」
アウン山の暗い谷の中。
アレンは目を覚ました。
「…………」
起き上がり、ぼんやりとしながら若干痛い頭に手を当てようとすると、右腕にも鈍い痛みが走る。
上を見上げて、思い出した。
落ちたことを。
あの時、咄嗟にレイを抱き締めて庇って……。
「!レイ?どこに…」
「…んん?」
側から可愛くて綺麗な声がした。
暗闇のなか目を凝らすと自分の上に乗っかっていたらしく、アレンが起き上がったときに少しずり落ちてお腹のところにきたレイが見えた。
「レイ、大丈夫か」
比較的痛みのましな左腕で揺する。
「…アレンなの?」
レイが起き上がった。
暗闇に慣れてくると、彼女は目を見開いて驚いた。
「アレン!酷い怪我!ごめんなさい、私を庇ったから…!」
「大丈夫、かすり傷とかだけだから。…レイ?」
レイは立ち上がろうとしてよろけ、アレンの上にまた乗っかった。
若干赤くなりながら、アレンは慌てて受け止める。
「きゃああ!ごめんなさい」
真っ赤になって謝るレイ。
何故か離したくなくなって、アレンはレイを引き寄せた。
座りながら後ろから抱きついたような格好になる。
「どっか怪我したのか?」
「あ、あの、あ、足、挫いちゃって。」
これ以上ないくらい顔が真っ赤になったレイはつっかえながらも言う。