レヴィオルストーリー
「は?」
いきなり水魔に名前を聞かれ、戸惑うアレン。
〔だから、名前は?〕
水魔は焦れったそうに言う。
「…アレン」
〔アレン…アレン!!〕
アレンの名を呟いたとたん、水魔はいきなり騒ぎだした。
突然のことに驚く四人。
「…何だぁ?」
ギルクが怪訝そうに言った。
〔アレンこそ私の理想の男!美しく、強く、冷静、秀才、澄んだ瞳!!〕
「や、俺頭は悪かったけど」
アレンは静かに突っ込んだ。
ギルクはアレンをまじまじと見つめる。
「あ…アレン…、お前…水魔に惚れられたぞ…」
「うっわ~、予想外の展開!!」
イルは楽しそうにはしゃいでいた。
「…………。」
レイは水魔を呆れた顔で見ていた。
と、その時…。
ニヤッ、とアレンが笑った。
「…リップル、頼みがあるんだ。聞いてくれるよな?」
アレンはにっこりと微笑んだ。
〔きゃ~ッ!何、なに?言って言って!!〕
普通の女の子のようなリップルに、アレンは更に畳み掛けた。
「いやさ、お前がここにいるせいで、この町ちょっとピンチなんだよ。それで、こっからどいてほしいなぁ~って思って。」
満面の笑みで言うアレン。
〔え…私、ここ気に入ってたんだけど…〕
とたんに、アレンは悲しそうな顔になった。
「…聞いてくれるんじゃなかったのか?どいてくれたら俺は嬉しいんだけど…」
碧の目で真っ直ぐにリップルを見つめた。
〔…わかったわ!!アレンの為だもの!!〕
リップルはそう言った。
……言ってしまった。
「そうか、ありがとな!!」
アレンはそう言うと…。
「じゃあな、リップル。またな」
とまた満面の笑みで言った。
〔え~、もう?〕
リップルは駄々をこねる。
水魔が駄々をこねる姿は、ある意味すごかった。
「また会えるって。な。」
〔わかったわ…。またね、アレン!〕
完全にアレンしか見えていないリップルは、アレンにそう言うと水になってどこかへ飛んでいったのだった……。