レヴィオルストーリー
「………」
「アレン、聞こえてるでしょう。ねぇ。」
「………」
「無視しないで」
「何でもない」
ぶっきらぼうにそう言ったアレンはレイを支えるべく腕を回す。
(痛ぇ…)
さっきはぼんやりしてたからそんなに気にならなかったけど。
おんぶする為にレイを抱き上げた瞬間、右腕は悲鳴をあげるように傷んだ。
バレないようにさりげなくしてたのに…。
右腕は打撲したらしい。
暗いからあまりレイには見えないけど、紫になって腫れていた。
「本当に何でもないの?力入ってないわよ」
怒ってたレイは今度は心配そうに聞く。
落ちないようにしがみついていて、アレンはまた少し赤くなる。
(…何なんだようっせぇな!)
アレンは自分の心臓に八つ当たりした。
「アレンってば」
返事を返さないアレンの頭を、レイは指で小突いた。
「いたっ」
「え?」
「あ、いや…」
「…アレン。どこ打ったの?どこ怪我したの?かすり傷だけじゃないわね?」
背中から聞こえる声が恐い…。
半分脅迫だ。
「別に、どこも…」
「私を庇ったんだもの、私より酷い怪我してるに決まってるわ!」
決まってるわ!って。
レイが決めたんだろ。
若干ツッコミを入れながらアレンは進む。