レヴィオルストーリー


「アレン!もう、痛いのなら我慢しないで!どこ?教えて。」

「大丈夫だってば。それにレイだって痛いんだろ?」

「私は足だけよ。」

「十分駄目だろ。…あれ?」

「アレン?」


急に立ち止まったアレンにレイは不思議そうな声で呼び掛ける。


「………。」

「どうしたの?」

「…いや…」


(気のせい、気のせい…。)


一度レイを下ろし、近くにあった樹に剣で印をつけた。


「?」

不思議がるレイに説明もせず、また歩き出す。


「アレン、どうしたのよ。それにやっぱり右腕痛いんでしょう。さっき左手で剣握ってたもの!」

「…大丈夫だから」


しばらく歩いたアレンはまた立ち止まった。


「………。」



目の前の樹には、さっきの印。




「…迷ったの?」

またレイを降ろすと、首を傾げながら樹に手を添えて聞いてきた。


「…迷ったっつうか…嵌められた。」

「崖から落ちる前からしてる変な感じね。誰かが魔法で悪戯してるんだわ。樹が変なの。」

「だろうな…」


辺りを見回す。

さっきと変わらない薄暗い景色。


「近くにいるのなら術者を叩けばいいんだけど…いないな」

「イル達で何とかしてくれないかしら。」



どうしようもない状況に、二人はため息をついた。




< 311 / 394 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop