レヴィオルストーリー
「アレン!もう、痛いのなら我慢しないで!どこ?教えて。」
「大丈夫だってば。それにレイだって痛いんだろ?」
「私は足だけよ。」
「十分駄目だろ。…あれ?」
「アレン?」
急に立ち止まったアレンにレイは不思議そうな声で呼び掛ける。
「………。」
「どうしたの?」
「…いや…」
(気のせい、気のせい…。)
一度レイを下ろし、近くにあった樹に剣で印をつけた。
「?」
不思議がるレイに説明もせず、また歩き出す。
「アレン、どうしたのよ。それにやっぱり右腕痛いんでしょう。さっき左手で剣握ってたもの!」
「…大丈夫だから」
しばらく歩いたアレンはまた立ち止まった。
「………。」
目の前の樹には、さっきの印。
「…迷ったの?」
またレイを降ろすと、首を傾げながら樹に手を添えて聞いてきた。
「…迷ったっつうか…嵌められた。」
「崖から落ちる前からしてる変な感じね。誰かが魔法で悪戯してるんだわ。樹が変なの。」
「だろうな…」
辺りを見回す。
さっきと変わらない薄暗い景色。
「近くにいるのなら術者を叩けばいいんだけど…いないな」
「イル達で何とかしてくれないかしら。」
どうしようもない状況に、二人はため息をついた。