レヴィオルストーリー
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その頃、アレンとレイは樹のそばで怪我の手当てをしていた。
「ありがとう」
挫いた足に包帯を巻き固定してもらったレイはお礼を述べる。
ちなみに包帯はレイの持ち物の救急セットのもの。
「うん」
「次はアレンよ。ほら、右腕出して」
「…いいよ」
「アレン」
「……」
恐い笑みと声に圧倒されたアレンは大人しく従うことにした。
おずおずと力の入らない右腕を出すと、レイがそっと黒い上着の袖を捲った。
「…えっ、こんなの我慢してたの!?」
紫に腫れ上がったそれを見て、レイは慌てる。
「大丈夫だよ」
「どこが!痛そうよ、やっぱり私の足より悪いじゃない」
「悪くない…」
そんなことを言い合いながら、また包帯を巻く。
「打撲に包帯っていうのも効かないかもしれないけど…。はい。」
「…ありがと」
返事の代わりににっこり微笑んだレイは水筒の水を出した。
「精霊…呼べるかしら」
もう一度試してみる。
目を閉じて力を使おうとしたが…。
「…やっぱり、駄目…」
「…そっか」
樹にもたれかかり座るアレンを見て、レイはその隣に移動した。
そっと右腕に触れる。
「アレン、他にどこか怪我してる?」
「…いや」
「…嘘ついてないわよね?」
「……頭打った」
嘘をついてバレたら恐い。
後悔する前にアレンは正直に言う。