レヴィオルストーリー

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

その頃、アレンとレイは樹のそばで怪我の手当てをしていた。



「ありがとう」



挫いた足に包帯を巻き固定してもらったレイはお礼を述べる。

ちなみに包帯はレイの持ち物の救急セットのもの。


「うん」

「次はアレンよ。ほら、右腕出して」

「…いいよ」

「アレン」

「……」


恐い笑みと声に圧倒されたアレンは大人しく従うことにした。


おずおずと力の入らない右腕を出すと、レイがそっと黒い上着の袖を捲った。


「…えっ、こんなの我慢してたの!?」


紫に腫れ上がったそれを見て、レイは慌てる。


「大丈夫だよ」

「どこが!痛そうよ、やっぱり私の足より悪いじゃない」

「悪くない…」


そんなことを言い合いながら、また包帯を巻く。


「打撲に包帯っていうのも効かないかもしれないけど…。はい。」

「…ありがと」


返事の代わりににっこり微笑んだレイは水筒の水を出した。


「精霊…呼べるかしら」


もう一度試してみる。

目を閉じて力を使おうとしたが…。


「…やっぱり、駄目…」

「…そっか」

樹にもたれかかり座るアレンを見て、レイはその隣に移動した。

そっと右腕に触れる。

「アレン、他にどこか怪我してる?」

「…いや」

「…嘘ついてないわよね?」

「……頭打った」


嘘をついてバレたら恐い。

後悔する前にアレンは正直に言う。



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