レヴィオルストーリー


目の前に繰り広げられる攻防戦に、レイはただ呆気にとられて座り込んでいた。

体の震えが収まり、徐々に冷静な自分を取り戻す。



『レイに触んな』



アレンの言葉が、頭の中をグルグルまわって何回も繰り返される。

(や、やだ、こんなときに真っ赤になって…)


それを隠すように頬を両手で包むと、また戦う二人に視線を戻した。



刃物のぶつかり合う音が、何度も高く鳴る。


次々と攻撃してくるアレンに、コニスは防御するのに精一杯だった。


(速い…左手でこれか)


利き手の右腕を使えないアレンはずっと左で剣を握り、攻撃をしていた。


が、激しい動きと怪我のせいで少し息が切れてきたようだ。


(やるなら今だなぁ…)



らちがあかない、そう思ったコニスは刃物に魔力を注ぎ始める。



その、瞬間。




それを感じ取ったアレンが、一瞬だけ剣を右手に持ちかえた。



「!」



さっきの倍くらいの速さで剣を入れられ、魔力に集中していたせいかそれを防げない。

コニスは瞬発的に姿勢を低くしたが、肩を斬られてしまった。


「いってぇ!」


気付けば馬乗りの状態。

アレンの剣が、その碧の瞳と同様にキラリと光る。



振り下ろされたその時、声が聞こえた。


『…コニス』



「…シリティー」





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