レヴィオルストーリー
感動している人達の輪から抜けたアレンは、そろそろとレイに近づいた。
「アレン大丈夫?」
気付いたレイの質問に頷き、心配そうに足を見る。
「レイは?」
「えぇ、平気よ。もう精霊呼べるだろうし、治療するわ」
呪文を唱えて精霊を呼び出しそれを手に張り付けると、アレンの怪我に手を伸ばす。
だがアレンはそれを拒否した。
「レイが先に治して。」
「え?でも…」
「その方が速いだろ」
「…そうね、わかったわ」
そして今度は自分の足に手を翳す。
「…あのさ」
レイが自分の怪我の治療を終え、アレンの右腕を治しにかかったときに声をかける。
その声が少し躊躇いがちだったからか、レイは顔を上げてアレンを見つめた。
「なぁに?どうしたの、アレン」
「…………」
「あ、アレン?」
見つめていたら逆に見つめ返されて、レイはまた頬を赤く染めながら少し俯いた。
「…魔王を、倒したら。」
「ん?」
「言いたいことが、あるんだ」
その言葉に、また顔を上げた。
視線がぶつかり合う。
「…私もよ」
優しい碧の瞳に真っ直ぐ見つめられたレイは、今度は視線を外さずに微笑んで答えた。