レヴィオルストーリー
扉をくぐった途端に、むあっと嫌な空気が押し寄せる。
アレンは少しだけ顔をしかめた。
うっすらと開けた目に映るのは、黒い床に黒い絨毯。
玄関ホールは静まり返っていた。
「…おかしいですね。いつもならすぐにでも掛かってくるのに」
「だな…何なんだ??」
不気味に響く靴音と二人の話し声だけが、静寂を破る。
「でもこれなら楽に最上階の魔王様のところまでいけるな」
「油断しては駄目ですよ」
シリティーのその言葉と共に、一行の前方に空間の歪みが現れた。
今まさに登ろうとしていた目の前の階段に、ある人物が降り立つ。
シリティーとコニスは嫌そうに顔をしかめた。
「…ロリン」
「はいはぁい、ロリン様参上♪…おわっと。今の着地は失敗失敗。9999点かなぁ~」
着地に失敗した緩く二つにくくった黒髪の少女は、こけかけたのを何とか踏ん張り、体勢を整えるとにっこり微笑んだ。
「…ロリン、私達に何の用ですか」
対照的に白髪のシリティーは、冷たくあしらう。