レヴィオルストーリー
アレンが猛スピードで近づくのにも関わらず、魔王は平然として王座に腰かけたまま動かない。
そのまま間合いを詰め、剣を振った。
ヒュッと風を切る音が、静かな部屋に鳴った。
手応えはあった。斬ったのだ。
斬った、が───。
「…結界…」
斬れたのは黒い王座だけだった。
石でできたそれはスッパリと綺麗に真っ二つになり、開いて別れると重い音を響かせ床に倒れた。
〈石を斬るか。なかなかな様だな。だが…我の結界は斬撃では砕けぬ〉
座っていた魔王は自分の下で王座が崩れるなか、静かに立ち上がる。
アレンより二回りくらい大きいそれは、赤い目で目の前の少年を観察した。
〈よくよく考えれば、剣士なぞに我が魔法を破れるわけがないのだ。〉
剣で破れたとしても、それは弱い魔法。
魔王には全く効かない。