レヴィオルストーリー


床にヒビが入る程の衝撃。


それでも結界は、破られていない。


ほっとしてレイとイルは蔓を見上げた。



「…何これ。こんな強い結界…」

ロリンが蔓の上で眉を潜めている。

そして、視線をイルに移した。


「あの魔女、魔力が半端ないわね。やっぱり最初に殺っとかないと。」


楽しげな調子をかなぐり捨て、ロリンは本気になったらしい。

身体の回りにどす黒い魔力をまとわりつかせ、蔓にそれを入れ込んでいる。



「うわ、あの魔力、やば…。」

「あれは何の魔力なの?」

超嫌そうな顔をしたイルに、レイは静かに聞く。


「あれには名前はないの。ただ、闇の力がつまった…魔王の魔力ってのはわかるわ。」

「魔王の魔力ねぇ。じゃあアレンはあの魔力でいっぱいの相手と戦ってんのか。」


いつのまにかそばに来たギルクも、真顔でそれを見つめる。


「死になさい!」


のし掛かる蔓の重みが何倍にも跳ね上がった。

結界はビクともしないが、イルが汗を流して疲れだしたのを見てギルクが結界の外に飛び出す。



「あんまりやるとイルの負担が増えるだろ。やめとけ!!」

「魔力も持たないあんたに何ができるの?」


薄ら笑いを浮かべたロリンは、魔王の配下にふさわしい残酷な表情になっている。

赤い目にどす黒い色が混じり出していた。


「できることならあるさ」


そう言ったギルクは目を瞑った。



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