レヴィオルストーリー

〔へん、やってみろや!〕

「どうぞご遠慮なく」

ミシェと炎の精霊も余裕をかました。

にこにこしながら頷いたレイ。



しかし、一向に攻撃を仕掛ける気配を見せない。


「?」

ミシェが怪訝そうに眉を潜めたとき。




水の精霊が一瞬驚いた顔をした、気がした。





そして直後、水の大波がミシェと炎の精霊を襲う。




「えっ!?」


気付くのが遅れた二人は波に飲み込まれた。


波がひくころには、踞ってむせるミシェと目を回した精霊が出てきた。


「ケホッ、コホッ…。何で??呪文もなしに…。」

「無言呪文。知らないかしら。」


ミシェを見下ろすレイ。

その微笑みは勝ち誇った笑みだった。



「むごんじゅもん…?」

「念じるだけで精霊の力を借りるのよ。私もはじめて使ったんだけど、上手くできたかしら。」

〔ビックリしましたわ。急に頭の中にレイさんの声がするんですもの。私も長い間してなくて半分忘れてたみたい。〕


上品に笑う水の精霊。



「私、約束したから貴女にはやられるわけにはいかないのよ。ということで…。」

水の精霊が動きを見せた。


また無言呪文だ。


そう察知するも、炎の精霊は目を回しているし自分は動けないし、ミシェには成す術はなかった。




「残念だけど…さようなら。」


何故か優しいレイの声が、ミシェの聞いた最後の声だった。





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