レヴィオルストーリー
「ちゃんと掴まってろよ、あいつら追いかけるから。」
アレンはそう言うとさらに速度を上げる。
(ひ、人ってこんなに走れるの?!)
どっちかというと走るのは速いほうだったレイだが、アレンの速さには驚いた。
(は、はやすぎよ…)
だんだん酔ってきた。
「あ、アレン…待って、酔った…。」
「…はい?酔った?」
アレンはチラッとレイを見て言う。
「う、うん…酔った…ちょっと、止まって…」
レイの青い顔を見たアレンはゆっくりと速度を落とし、止まった。
「あ、ありがとう」
「ごめん、速すぎた?」
「…うん。でも、ギルク逹追いかけなきゃダメよね…?」
レイは自分より背の高いアレンを見上げる。
無意識のうちに上目遣いになる。
「んー…。まぁ目的地は一緒だから、大丈夫だと思うけどな」
苦笑いしながら、
「あいつらがまた峡谷で迷わなかったら。」
と付け加えた。
「ふふ、そうね。」
レイは微笑む。
「水、飲むか?」
「うん」
優しくしてくれるアレンに、思わずときめいてしまった。
(やばいわ…。)
若干赤くなりかけた頬を隠そうと、少し俯いて水を受け取った。