レヴィオルストーリー
 
しかし、赤くなった頬をアレンは見ていたようだ。

「ん、顔色よくなった。気分もう大丈夫?」

「え、あの、うんっ」

確かに気分はよくなった。けど、今また抱き上げられたら、心臓の音を聞かれそうだ。

「じゃ、行きますか」

アレンはレイに手を差し出す。

「…ええ」

レイは心を落ち着けながらその手をとった。

座っていた体をアレンに引っ張られながら起こし、立ち上がる。

「どうする?自分で走る?」

そう聞いたアレンはもう、全速力で走るつもりはないらしい。

「…どっちでも」

正直また抱き上げてほしかったりしたが、それを言う勇気がなくて言えなかった。

「んじゃあ…ゴア峡谷までは軽く走るから、そこまでちょっと我慢してて」

アレンはそう言った後、今度はレイをひょいっとおんぶした。

「え、いいの?疲れないかしら」

「大丈夫、大丈夫」

そう言ったアレンは軽く走り出す。

熱い日差しがキツかったが、爽やかな風がそれを和らげてくれた。

アレンの広い背中に体を寄せながら、レイはアレンに対する思いが、ただの一目惚れではないことに気が付いたのだった。

 
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