レヴィオルストーリー
「ウォルフ…か」
少年が倒したモンスターは、ウォルフだった。狼のような奴で、姿と気配を消して獲物に近づき、噛み殺す。姿や気配が消えて厄介で、結構強めのモンスターだ。
「…この森、ウォルフなんか出るっけ」
多少疑問を感じたものの、考えるのがめんどくさくなった少年はまた歩き出した。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
歩き続けて約三時間。
そろそろ大木のそびえる森の中心に来る頃。
あれからモンスターには会わず、少年はひたすら歩いていた。
「…ん?」
森の中心に来たらしい。
大木が立っていた。
そしてその下に………
「……おいッ!!」
人らしきものが倒れている。
少年は慌てて駆けつけた。
倒れているのは少年より年下っぽい、オレンジの髪を二つにくくった女の子だった。
少年の声で少女は目を覚ます。
「…ん、はれ…?誰…?ギルクは…?」
少女は起きたとたん、眠そうな顔をしてかわいい声を出した。
「ぎるく?何それ。アンタの連れ?」
少年は聞く。
「うん。…あなた、だぁれ?」
くりっとした大きな茶色い瞳を見開きながら少女は疑問をぶつけた。
「俺?…俺はアレン=ブロドニス。16歳。
…なんで大木の下で一人で寝てたんだ?」
ご丁寧に年まで答えたこの美少年は、アレンというらしい。
「あたしはイル=シーア。15歳。ギルクが水くんでくるって言ってどっか行ったからここで待ってたら眠くなって…。だから寝てた。」