レヴィオルストーリー
アレンは剣ではなく、脚で男の腹に蹴りを入れた。
「うっ…」
明らかに見た目では自分の方が力が強いのに、筋肉質な男はアレンに力負けして背中から床に倒れ込んだ。
それをアレンが上から見下ろす。
その目はさっきの鋭く輝いたものではなく。
憎しみに満ちた、ギラリとした目だった。
「…俺の前で…」
剣を振り上げる。
「偉そうに母さんの話をするな!!!!」
振り上げた剣を今度は振り下ろした。
男は腹部に強い衝撃を受け、気を失った。
「おやおや~、お母ちゃんの話を出されるのがそんなに嫌かい?」
レイの精霊での攻撃をかわしながら、前のリーダーが言ってきた。
まだ懲りないらしい。
「黙れ…」
前のリーダーらしき男はアレンの目を見て口をつぐんだ。
恐ろしい目。
憎しみに満ちた目。
男は後悔したが、遅かった。
アレンの剣が背中に入る。
男は倒れた。
「…アレン?」
雑魚三人を一瞬で倒したレイは、筋肉質な男が冷やかしたらへんからリーダーを攻撃しながらずっとアレンの様子を見ていた。
明らかに瞳の輝きが変わったアレン。
今は憎しみに満ちた、恐ろしいギラリとした瞳だった。
アレンはレイの方へ体を向ける。
一瞬、目が合った。
あの、恐ろしい目と。
しかしアレンはレイを見た瞬間俯き、すぐに顔を上げた。
その目はもとの、澄んだ綺麗な碧の瞳。
「暴れすぎたな…」
アレンはレイとは目を合わさずに言った。
アレンの足下に倒れる男二人は気を失ったまま。
どうやら、峰打ちだけで殺しはしなかったらしい。
「俺、こいつら外に出してくる。」
そう言って先に筋肉質な男と前のリーダーを担ぎ、外に出ていった。
ドアから外に出る瞬間に見たアレンの表情は、どこか哀しげで。
レイは、心が締め付けられるようだった。