レヴィオルストーリー
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
それから二人は無言で再び眠りについた。
そして、朝……。
「はよ」
アレンはいつも通りだった。
爽やかな笑顔までレイに向ける。
「…おはよう、アレン」
レイも精一杯の笑顔で返事をした。
「朝ごはん食べたらすぐに出よう。雨が降りそうだから」
「ええ」
早速朝ごはんを食べ、準備をして小屋を出た。
スタスタと前を歩くアレンにレイは後ろからついていく。
しばらく歩くと、峡谷の橋が見えた。
あの橋を渡ったら峡谷を抜けれる。
「ん?」
アレンが急に止まった。
何かが見える。
赤い、短髪の……
「ギルク!!」
「お~、アレンにレイ!!」
ギルクの横にはイルがピッタリとくっついている。
心なしか、震えているような…。
「イル?どうしたの?」
レイはイルの様子を見て心配そうに聞いた。
「………………。」
イルは何も言わず、橋を見ながら首を横に振った。
「ああ、コイツ高所恐怖症でさ。橋がこわいっつ~んだよなぁ」
ギルクは困ったように言う。
「え?じゃあ箒とかで空飛ぶときどうしてるの?」
「箒はいいのッ、自分の魔法だから安心できるのッ」
イルは恐怖に満ちた目でギルクに抱きつく。
「箒、トウキシティに忘れてきてたからさ、行きもこんなんでさぁ…。それで一週間かかったんだよ」
そう言うとギルクは抱きつくイルをおぶった。