レヴィオルストーリー
 
「まぁ、何にせよギルクの嫁になるんだろ?」

街長は元気よく言う。

「もちッ、あたまえ☆」

イルはウインクして言った。

「ん?何だその『あたまえ』ってのは」

街長はギルクと同じ黒い瞳をぱちくりさせながら聞いた。

「もぉ~ッ、あたりまえの略よ~ぅ。おじさんったら遅れてるう」

イルの言葉が相当ショックだったらしい街長は、少ししゅんとしていじけながら

「ここにいる間は俺らの家に泊まればいいから」

と言って仕事に戻った。


「ギルクそっくりだな」

アレンは感心しながら言う。

「嬉しくねぇ~」

ギルクはそう言って頭を抱えた。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

ギルクの家族はとにかく賑やかだった。

まず家に着いた時に飛び出してきたのはギルクの母。

「心配したんだからッ」とギルクを叱りつけ、
イルを見て「んまぁ~イルちゃん今日も一段とかわいいわね」と褒めあげ、
レイを見て「あらッ!!きれいな女の子ねぇッ!昔の私みたい!!」と大笑いし、
アレンを見て「あらあらあら~イケメンじゃない、私の好みよ」とウインクした。

そんな彼女はくの一らしい。

そしてギルクの姉、レナは晩ごはんの時にだるそうに二階の自室から降りてきて、
ギルクをちらりと見て「帰ってきたの?」と冷たい言葉を浴びせ、
イルを見て「あ、いらっしゃい」とごく普通の反応を示し、
アレンとレイを見て「誰?」とギルクに聞いた。

クールな彼女もくの一らしい。

みんな黒い瞳をしていた。

 
< 45 / 394 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop