レヴィオルストーリー
第二章◆東の旅
7.サドア川の大将
アレンとオージャスの戦いから2日。
アレン達は少し買い物をして休んでから、トウキシティを出発した。
「とりあえず、近くのカカサビレッジに行こう」
アレンは地図を見ながら三人に呟くように言う。
カカサビレッジとは、ゴア峡谷を越えた南のサドア川の先の小さな村のことだ。
ちなみに、怪盗・山賊・海賊が多いという、少々問題のある村。
「え~っ、あんなとこ行ったら、かわいいイルちゃんが狙われちゃうじゃない~ッ」
自分でそう言って拒否するイル。
アレンは無表情に
「じゃあ帰れ」
と冷たく言ってのけた。
「あ、ツンデレの『ツン』出たっ!!」
「だからツンデレって…違うから」
意味わかんねぇし、とアレンは片手で頭を押さえた。
「大丈夫だ!!イルは俺が守る!!」
ギルクは胸をはって両手を腰にあて、そう宣言する。
「きゃ~、ギルク、素敵ぃ~」
イルはギルクの胸の中に飛び込んだ。
「レイ、行こっか」
「ええ」
アレンとレイは二人で先に進んだ。
「あ~ん、待ってぇ~」
いつものパターン。
なんか、こんなんばっかりだ…。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
怯えるイルをなだめすかしてゴア峡谷を越えたアレン達は、サドア川の側で休憩していた。
…イルがお菓子を食べたいと言い出したからだ。
「ほらッ、見て!!!!」
イルはどうやったらその小さなカバンに入るんだ、とツッコみたくなるくらいたくさんのお菓子を出した。
完璧に中学校の修学旅行気分。
「はい、アレンにはこれあげる♪意外と甘いの好きそうだから☆」
イルはチョコレートをアレンに渡した。
「レイはこれ、レモン味のグミ♪」
黄色いかわいらしいグミをレイに渡す。
「で、あたしはこれね♪」
一番甘そうな、ピンク色のマシュマロを手に持ったイルは、
「それではいただきまぁ~す☆」
とそれを口に運ぼうとした。
「イヤイヤイヤイヤ、おいおいおい!!!!!!!」
ギルクは慌ててイルの手を掴んでそれを阻止した。