レヴィオルストーリー
イルの手が水色に光る。
その光はレイを包み込み優しく癒すが、彼女は一向に目を覚まさない。
「やっぱ、杖がないと無理かな…」
イルは顔をしかめた。
レイは相変わらず起きない。
「よしっ」
杖を手の上に重ねた。
すると水色の光が大きくなる。
「…ん…」
小さくレイが身動きした。
「レイ!大丈夫?」
「…イル…?あれ、私…河に飛び込んで…?」
起きたレイは手の中にあるものに気づき、それを見つめた。
「…また迷惑かけちゃったのかしら。ごめんね、ありがとうアレン。」
レイはアレンに向かって微笑む。
「…おぅ。大丈夫?」
「何か、疲れちゃった。気を失う前に力使っちゃったし…。」
「やっぱ、レイの力だったんだな。びっくりした。」
レイはアレンをジッと見た。
「何が起きたのかしら?ああいう時、どうなるのか自分でもわからないの…。」
その言葉にアレンは大量(大漁?)の魚を思い出す。
「…魚が、運んでくれた。何か…レイを、守るみたいに…。」
「そうなの…。お魚さん、ありがとう。」
河に向かってお礼を言うと、水面がピチピチと小さく跳ねた。
「なんか、どーいたしまして、って言ってるみたい♪」
イルが楽しそうに跳び跳ねる。
「そういえば、そのブレスレット何なんだぁ?さっきから握り締めてさ。」
ギルクがレイの手の中のブレスレットを指差す。
金色の鎖に水や炎や葉っぱの形を象った飾りがついたそれは、太陽に照らされて輝いていた。
「あ…。これ、お兄ちゃんがくれたものなの。」
「お兄ちゃんって?レイの?」
「そうよ。私の16歳の誕生日に、プレゼントだって。精霊士の力を強める働きがあるみたいなの。」
レイは嬉しそうに微笑んでブレスレットを腕につけた。
「でも、お兄ちゃん、二ヶ月前に行方不明になって…。それで、探すために一人で旅をしていたのよ。」
レイは話し終えるとブレスレットから目を逸らし、三人の方を見る。