レヴィオルストーリー
アレンが叫んだ。
その声に反応して、三人は身を低くする。
頭の上を、風のようなものが通り抜けた。
風はカフェの側の木に当たり、木は真っ二つに切れてしまう。
「……………何?」
レイとイルが側に戻ってきた。
「たぶん、獣だ…。」
アレンは茂みの中の一点を見つめて呟く。
「…そこか」
剣を抜いた途端、そこに向かって軽く振った。
斬撃は風になって目的の場所に飛んでいく。
ザシュッ、という音と共に、獣の悲鳴が聞こえた。
と同時に、目の前に二匹のライオンのようなものが出てくる。
「あ!!あれ、ラオンじゃない!?」
イルがハッとして口元に手を宛てた。
ラオンというのは、鬣(たてがみ)は真っ黒で胴体はくすんだ灰色の、体長1㍍50㌢程のモンスター。
前の獣はそっくりそのまま。
「何でこんな街中にいるのかしら…」
「アレン、一匹ずつ倒そうぜ」
ギルクは拳をコキコキ鳴らし握り締めて、隣の少年に提案する。
「了解」
アレンの目付きが変わった。
鋭い、きらりとした光。
レイはその瞳に見とれてしまった。
(やっぱり、かっこいい。)
改めて思い、頬を染めるレイ。
イルはと言うと、ひたすらにギルクを応援していた。
「いけー、ギルク!!頑張って!!」
闘ってるときのギルクは、いつも以上にかっこよくて頼りになる。
「きゃー、ギルク、好きぃーッ」
こういうことを平気で言うのは、イルくらいだった。