ブラウニーと唐辛子
「紀伊さん、起こしてやりなさい。」
「え……」
困った顔をして、私は吉野の耳元で囁く。
「唐辛子。」
食べ物で起きる程に単純なのは、私くらいのものだろうと思いはしたが言ってみた。
「!!!」
がばっと起き上がって、吉野はキョロキョロとする。
「………唐辛子の囁き声。」
謎の言葉を残して再び寝ようとする。
「だめだめ!起きなさい。授業中です!」
教師は眉をつり上げた。
「全く……」
ため息をついて再開する。
< 6 / 52 >

この作品をシェア

pagetop