ホントの気持ち

5月26日月曜日

「この日は店長がバイト先に来る最後の日だ。
うちがバイト先へ行くと店長はもう既に来ていた。
うちはすぐに裏へと向かい店長に沖縄のお土産を渡した。
店長は

「お！ジュリ！沖縄は楽しかったか？」

「はい！楽しかったです！はい！お土産です！」

と、私は両手でお土産の入ったピンクの袋を渡した。
店長はそれを受け取ると嬉しそうにありがとうと言ってくれた。
そして、

「ジュリ！シーサー？俺シーサーがいいって言ったやん！」

…始まった。
人が物をあげると絶対に文句を言う！
うちは月に一回お菓子を作ってみんなに配っていた。
それをあげて、次の日感想を聞くと美味しかった！って言ってくれるけど絶対に小さかった！量が少なかったなどと文句を言う。
だから次作るときはワンホールであげると約束したが、その約束は叶うことはなかった。
そしてその文句を聞くのも最後だと思うと悲しくなる。

うちは袋の中も見ずに言う店長のからお土産を取り、袋の中を開け中のものを取り出した店長に見せた。

「ほら！ちゃんとシーサーですよ！めっちゃ悩んだんですからね！」

と言ってうちは茶色のシーサーのキーホルダーを見せた。
それを見て店長は満面の笑顔でありがとうと言った。
うちは泣きそうになった。
やっぱり最後なんだと。
そして、店長の前で開けたから一緒に入れといた手紙が店長に見えた。
それを見て少し「ん？」と顔をゆがめた
が気づかないふりをしてくれた。
それか本当に気づいてなかったのかは知らないがうちはすぐにキーホルダーを袋にしまい、店長に再び渡した。

「ありがとうな」

それが店長との最後の言葉だった。」

うちはバイトだったのですぐに戻った。流れそうな涙を抑えて。