たゆたえども沈まず

それに返信をしていると、『本日の予定』としてアプリが起動した。時計を見ると零時を過ぎていて、何かあったのかとタップする。

今日、久喜の誕生日だった。

その名前を見るだけで涙が出てきそうで、出ないのを前提で電話をかける。

私からかけるのは久しぶりだ。

『…………もしもし』

その声を聴くのも、久しぶりだ。

『もしもーし』

「も、しもし」

『うわ、のんちゃん』

うわってなに。
出るとは思って無かったのはこっちだ。

「誕生日、だなって思ったから。おめでとうって」

口実のように伝えてしまった。



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