たゆたえども沈まず
私の後ろで足音が止まる。
「何処に行くの?」
「友達のとこ」
「何時だと思ってるの、やめなさい」
「今すぐ行かないとダメなの!」
振り向かなかった。扉を押して、外に出る。
暑さの残る昼とは違って、冷たい空気。パーカーを羽織ってきて良かった。
久喜の家は結構近くにある。同じ小学校に通っていたんだから当たり前だけれど。
途中でコンビニを見つけて、売っていた肉まんとあんまんを買った。ピザまんは売り切れになっていた。
ビニール袋を持ちながら歩いて、久喜のマンションの前に来る。