たゆたえども沈まず
首を振って手の甲で涙を拭った。
立ち上がった久喜に腕を引っ張られてその鎖骨に顔をぶつける。薄着なのに久喜の体温は高かった。
「温って、何でずっと俺の傍から居なくなんないの?」
純粋な疑問のように聞こえた。
聞こえただけで、私の中では勝手に悲鳴になって。それが悲しくて、ああ、私は悲しかったんだ。
友達。学校。家族。
そういえば、お金で友達が手に入ると言ったこともあったっけ。
久喜は馬鹿だ。
「私は、久喜が楽しかったら嬉しい」
「ん」
「でも、辛かったり寂しがってたり傷付いてたら悲しい。久喜の分、泣くくらい悲しいよ」