たゆたえども沈まず

外泊するのは初めてだ。

「海行った日、怒られた?」

「怒られはしなかったけど」

「けど?」

「今日却ってきた模試の結果で喧嘩寸前」

はは、と笑われた。
笑い事ではないんだけどね。

久喜はお母さんがそういうことに煩いのを知ってる。更に私に関っていることをお母さんにバレない方が良いことも察している。

「そういえば、今日誰と……」

寝息が聞こえた。

お金を盗られた昨日を忘れて、久喜が幸せな誕生日になりますように。

神様が久喜を見ているならそれくらいはしてもらいたい。



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