たゆたえども沈まず
目を覚ますとカーテンの隙間から日差しが差し込んでいた。
柔らかい光に手を翳すと、手首を掴まれる。
「おはよ」
あ、そういえば久喜の家だった。
「おはようございます」
「水を持ってきて頂けますか」
「うん。キッチン借ります」
ベッドから立ち上がって部屋の扉を開ける。昨日の夜は久喜に引っ張られて来たけれど、すごい広い部屋だ。
ここに一人住むなんて、寂しく感じる。
広いリビングを通ってキッチンに入る。家族がいない他人の家って動きやすいけれど、罪悪感が生まれる。