たゆたえども沈まず

振り払われることもなく、少しだけ絡む指。さっき繋がれたより温かい。

本当に眠いらしい。顔を上げない久喜を見てから手を離した。

階段を下る音とリビングに来る足音。

お母さんが洗濯かごを持ってこちらに来る。眠った久喜に目を見開いて、隣の和室から毛布を持ってきた。

「お母さん、ごめんなさい。無断外泊と模試のこと」

久喜にかけられる毛布。お母さんはこちらを向いて、顔色を変えずに「温も眠いなら部屋で眠りなさいね」と言った。

今は二人しかいない家族だ。

私はなんとなく謝りたくないと思っていたけれど、ここにきてころりと考えが変わった。お母さんが久喜を家に入れているのを見たら、それは変わる。


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