たゆたえども沈まず
プリンス先輩の隣のクラスということは、部長と同じクラスということ。
だとしても、部長に聞いても「知らない」って言いそうだな……。
「部長、松潟ってひと知ってます?」
「知らない」
即答。ですよね、と私も用意した返事をする。
放送室の椅子に座って生物の教科書を開いている部長は、きょろりと視線をこちらに向けた。
「なに、王子も知らないの?」
「というか、部長のクラスの人です」
「わーお」
声もそうだけれど、全然心が籠もっていない。部長は携帯を出して操作した。