たゆたえども沈まず
これは私がでるべきなんだよね。
「……もしもし、初めまして。瀧本先輩の後輩の二年、栂です」
『初めまして、瀧本は?』
「えーっとですね」
部長の方を見ると、いつの間にか椅子を並べて横になっていた。生物の教科書を持っているので眠ってはいないのだろう。
『放送室?』
「あ、はい」
今から行く、という言葉と同時に放送室の扉が開いた。ジャージを着た江戸先輩が現れた。
「お邪魔しまっす」
「どうぞ、栂です。部長は今……」
「ちょっと瀧本!」
「あの、私が話したいんです。松潟先輩のことで」