たゆたえども沈まず

そんなこと言ったら、プリンス先輩はどうなんだという話になるか。

「合ってる。先輩の彼女だったのが松潟で、その松潟に艶野が手を出したって理由で喧嘩になったらしい」

「やっぱり、そうなんですね」

「でも、実は松潟が艶野にちょっかい出してたみたいよ。艶野ってうちの高校の女子とは付き合わないって言ってたらしいし、松潟も先輩が卒業したら別れて艶野が学校辞めたらケロッとしてたし」

ぞく、と背中が震えた。武者震いだ。

なんて、自分に言い訳をした。

「温、顔が怖いよ」

いつの間にか部長が起き上がってこちらを見ていた。


< 135 / 163 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop