たゆたえども沈まず
ケアレスミスには注意する。
思えば、久喜とプリンス先輩のツーショットを見るのは二度目だ。
しかも、あの海のときから。
「のんちゃん、今帰り?」
「あ……はい」
「俺も帰りっすよ先輩。温の家に帰宅するんです」
「それは聞いたから知ってる」
また沈黙。そうです、教えたのは私です。
でも、久喜はこちらを見なかった。
「そんな敵意剥き出しにしなくて良くない?」
先輩がため息を吐く。それは私に言ったのか、と顔を前に向ければ、視線は久喜を示していた。
敵意、剥き出しなのか。何故。
ぎゅうぎゅうと手に力が入る。