たゆたえども沈まず

仕方がない、こればかりは。

「ちょっと聞いてんの?」

松潟先輩が立ちがある。その勢いに後退して、よろめいた。

背中が誰かにぶつかったので、振り向いて謝る。

「あ」

「あれ温、どうしたの。こんな所で」

「部長」

部長がいた。教室で部長を見るのは初めてだ。

一瞬で、心細かったのを思い出してしまう。

「もしかして松潟さんに苛められてたとか?」

「……瀧本、やっと教室来たの」

「そ、久しぶりに来たら面白いものが見られた」

部長は不敵に笑んでいた。後ろにプリンス先輩が控えている。王子を引き連れての登場らしい。


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