たゆたえども沈まず

そこで思い出す。久喜は天性の女たらしということを。

「私のことを好き……?」

「義理の妹。佐山先輩の弟と懇ろな」

「あの妹さん! この前話しかけられた」

「え、もう会ってんの。あいつ怖い……」

大袈裟に震える久喜はこちらを見る。

女心と秋の空、とか男心と秋の空、というけれど。
秋空は高い方が綺麗だ。

実和ちゃんというのか、今度ちゃんと会って話してみたいなあ。

「あれ、どうして妹さんが私のこと知ってるの?」

「俺と一緒にいるのを見たらしくて、ずっと前にお前のことを聞いてきたことがある」



< 158 / 163 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop